三菱地所グループでは、「三菱地所グループ環境基本方針」において、「自然調和型社会形成への寄与」を定めており、森林破壊を行わず、事業活動を通じて生物多様性に配慮し、持続可能な木材利用を推進します。さらに、同方針に基づき、2022年7月には、自らのバリューチェーンで実施する木材調達において森林の非破壊・非減少・自然生態系の保護を図る「三菱地所グループ 木材調達ガイドライン」※を制定しました。なお、長期経営計画2030の社会価値向上戦略の目標である「三菱地所グループと社会の持続可能性 4つの重要テーマ」のうち「環境負荷低減に尽力し続ける」と「人を想い、人に寄り添い、人を守る」において、持続可能な木材利用の推進、事業に使用する木材のトレーサビリティの確保を目標に定め、輸入木材伐採地の人権尊重、自然資源保護に配慮した持続可能な木材利用に取り組んでいきます。
三菱地所グループでは、オフィスや住宅などの建設時に使用する型枠コンクリートパネルの木材を、人権および環境保護の観点から、持続可能性に配慮した調達コードにある木材(認証材並びに国産材)と同等の木材を使用し、2030年度までに使用率100%を目指し、森林破壊をなくします 。また、「三菱地所グループ グリーン調達ガイドライン」において、「木材について森林が適切に管理されていることを審査する森林認証制度に基づく認証製品の採用や国産材の利用拡大に配慮がなされていること」と定め、三菱地所グループが調達する全ての製品・サービス、設計・施工に適用し、すべてのサプライヤーに対し協力を要請しています。さらに、「三菱地所グループ 木材調達ガイドライン」※において、自らのバリューチェーンで実施する木材調達において森林の非破壊・非減少・自然生態系の保護を図ることを定め、本ガイドラインの達成進捗を測るタイムラインとして2025年度をマイルストーン(90%以上の達成を目途)、2030年度を達成の目標年としています。
持続可能な木材利用に関する方針、および森林関連の法律や規制などを遵守し、遵守状況をモニタリングする仕組みを構築しています。
三菱地所グループの、最新の国産材使用率はこちらに開示しています。
三菱地所グループは、国産材の活用を通じてサステナブルなものづくりを推進しています。木材活用の場を広げる建材として、近年「CLT(Cross Laminated Timber)」等の活用を推進しています。
MEC Industry(株)は、2020年1月、「木(もく)」を活用する社会の実現を目的として、三菱地所、(株)竹中工務店、大豊建設(株)、松尾建設(株)、南国殖産(株)、ケンテック(株)、山佐木材(株)の7社の出資を受け設立。7社の強みを組み合わせ、自社工場を持つことで、従来分断されていた製造から販売までのビジネスフローを統合し、低コストで高品質な製品の提供を可能にしました。
鹿児島県姶良郡湧水町に国産木材を活用するための自社生産拠点となる工場において、原木の調達から、製材、製造、加工、販売までを一気通貫で担っています。
自社工場では原木調達からCLTや2×4パネルなどの製造と、それら木材を活用した木質建材やプレファブリケーション化した戸建住宅の製造まで行います。これらの製品を通じて国産木材の利用を拡大することは、森で吸着した炭素をまちに固定化することにつながり、脱炭素社会の実現に加え、伐採適齢期を迎える国内人工林の循環を進めることで、グリーンインフラとしての働きや、生物多様性・自然資本の維持・向上へ貢献することも期待されます。さらに、建築資材、特に主要構造材として木材を利用し、鉄・コンクリートの使用を抑えることで、施工時の温室効果ガス発生量を削減できるほか、将来解体する際の資材のリサイクルにもつながります。自社工場では、製造過程で発生する木くずをボイラーの熱源として利用するなど、廃棄物量の低減にも取り組んでいます。
また、2023年2月、MEC Industryと湧水町は「災害発生時における支援協力に関する協定」を締結。湧水町において地震や風水害等の災害発生時や、発生するおそれがある場合には、避難場所の提供や応急仮設住宅の建築供給等を通じて、湧水町の皆さんの安全確保を図ります。
CLTパネルと建物低層部に広がる緑地
三菱地所(株)が、2024年5月に着工した「(仮称)天神1-7計画」(福岡県福岡市中央区天神一丁目)は、当社初の都市型商業施設である「イムズ」跡地に新たに開発する、オフィス・ホテル・商業の複合開発プロジェクトです。
建物外装に、MEC Industryが製造する九州産の木材を使用したCLTパネルと約450m3使用することで、地産地商の実現、森林保全や林業振興にも貢献します。CLTパネルの使用は、約259トンの二酸化炭素を固定するほか、パネルを幾何学計算に基づき有機的に配列することで日射熱を約40%削減するなど、更なる省エネ効果を実現します。
また、建物低層部に600m2超の緑地を設けることで、福岡市が都心の森1万本プロジェクト※が目指す憩いや安らぎを感じられる魅力的な街並みを創出するとともに、ヒートアイランド現象の緩和に寄与します。
本計画は、「ZEB Oriented」、「CASBEE福岡Aランク」、「CASBEEウェルネスオフィスAランク」を取得予定。
三菱地所(株)は、(株)三菱地所ホテルズアンドリゾーツを運営会社とし、札幌市中央区で、北海道産木材を積極的に活用した国内初の高層ハイブリッド木造ホテル「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」を2021年10月に開業しました。本物件は、低中層部が天井を木質化した鉄筋コンクリート造、中層部の1層が鉄筋コンクリート・木造のハイブリッド造、高層部が純木造となるハイブリッド木造建築です。三菱地所グループがこれまで推進してきた木造・木質建築物の成果を集約した新しい形のホテルです。
構造材に使用する約1,050m2の木材のうち、約80%は北海道産であり、床材のCLTをはじめ建物のさまざまな箇所で、道内人工林で最も資源量が多いトドマツを採用することで、地元産業の振興や森林資源循環に貢献しています。また、ホテル客室やロビーのインテリアにもふんだんに木材を活用するだけでなく、提供される飲食物なども北海道産に拘ったサービスを提供するなど、地産地消を積極的に行い、「北海道を体感する」というコンセプトのホテルとなっています。本プロジェクトは、国土交通省の「令和元年度 第2回募集 サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択されています。
自然豊かな沖縄・宮古島で2019年3月に開業したみやこ下地島空港ターミナル。空港ターミナルとして全国で初めて、屋根の構造材にCLTを採用。さらに、材料には沖縄県が定める地域材を使用し、地域の林業再生にも貢献しています。本施設では、このほかにも空港ターミナルとして全国初となる「ネット・ゼロ・エネルギービル(ZEB)」の取り組みを実施しています。
三菱地所ホーム(株)は、高品質・高付加価値な住まいづくりの提案で人々の暮らし・人生を豊かにしていく使命を果たすと同時に、国内の森林資源の活用、脱炭素化という観点から地球環境に配慮したサステナブルな資源である「木」を活用し、建物の木造木質化事業を推進して、持続可能な社会の実現を目指します。
CO2排出量削減に向けて、より一層の国産木材利用や住宅設備機器効率の向上などを促進することで、2030年までに当社施工物件におけるZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)率85%※1を目標に掲げ、2050年までにネットゼロ達成を目指します。また、廃棄物の発生が少ない施工方法やリサイクルの容易な材料の選定、プレカット技術の促進等に取り組むことで、2030年度までにCO2排出量60%削減を目指します。
さらに、トレーサビリティの明確な国産木材を積極的に採用することで、「植える→育てる→使う→植える」という森林の循環に貢献していきます。2011年には「山梨県産認証材製品の住宅部材利用に関する協定」を締結。2018年4月には国産の森林認証材を床構造用合板に標準採用※2するほか、同年11月より、ツーバイフォー工法による新築住宅の型枠組材に国産木材を標準採用しています。これにより、新築注文住宅1棟あたりの構造材における国産木材採用比率は、ツーバイフォー工法を手掛ける住宅メーカーとして国内トップレベルとなっています。このように、長年築いてきた「木」に関するノウハウを活かし、建築物にとどまらない幅広いフィールドにおいて木造木質化を推進する「KIDZUKI(キヅキ)」構想を立ち上げ、様々な分野の事業者や行政、クリエイターなどと、それぞれが抱える課題やニーズ、ソリューションを共有できるネットワークを形成し、「木」に関する新たなアイデアやプロジェクトを生み出すプラットフォームとなることを目指しています。
三菱地所ホームの木材採用実績については以下をご覧ください。
三菱地所(株)は2018年9月より、不動産・建設関連の企業8社が参加する「建設・不動産『人権デュー・デリジェンス勉強会』」を発足しており、その中で環境保護および人権尊重の観点から持続可能性に配慮した木材使用について、同業他社並びに建設会社と勉強会を開催しています。人権侵害や森林破壊含む環境破壊リスクについて理解を深め、今後の更なる持続可能性に配慮した木材使用の拡充を目指し、議論を行っています。
なお、本勉強会は、2023年4月に「人権デュー・ディリジェンス推進協議会」へと名称を変更しています。
本協議会に関する詳細はこちらで開示しています。