三菱地所グループは、「三菱地所グループ環境基本方針」において「循環型社会形成への寄与」を定めており、(企画・開発・設計・施工・運営・管理・解体などの)事業活動の全ての段階において、汚染物質や廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用に努めることを推進しています。さらに、リノベーションによる既存ストックの活用を含めた建物の長寿命化を図ることで、廃棄物の発生や資源使用の抑制にも取り組んでいます。
また、「三菱地所グループのSustainable Development Goals 2030」で掲げる重要テーマの一つである「Environment」において、施設の管理・運営における食品・プラスチックを中心とした廃棄物リサイクル率向上と排出量削減を目標に掲げ、テナントの皆さまなどのステークホルダーと協働し、循環型社会の実現に取り組みます。
廃棄物削減・汚染防止・資源使用の抑制に関しては、「三菱地所グループのSustainable Development Goals 2030」で掲げる重要テーマ「Environment」において、2030年までに廃棄物再利用率90%、廃棄物排出量20%削減(2019年度比/m²あたり)とすることを目標に掲げ、その達成に向けてPDCAサイクルを回して、取り組みを推進しています。
テナント企業の皆さまやサプライヤー、来街者・来館者をはじめとするお客さまなど、多様なステークホルダーとの協働によるさまざまな施策を通じて、循環型社会の形成に取り組みます。
廃棄物削減に関するデータは以下をご覧ください。
三菱地所本社における取り組みと、ステークホルダーとの協働による取り組みについては以下をご覧ください。
2016年5月から、地域が一体となって弁当容器のリサイクル活動を推進する日本初の取り組み「丸の内エコ弁プロジェクト」を進めています。
丸の内エリアで販売される弁当の容器に、表面にフィルムを貼ったリサイクル容器「P&Pリ・リパック」を導入。食後はフィルムと蓋のみを捨て、容器は各ビルに設置された回収ボックスに返却してもらう仕組みです。三菱地所(株)はデベロッパーとして、複数の店舗と連携しながらこのプロジェクトを企画・運用しています。
2015年10月からの2カ月間、ビル3棟の16店舗に参加いただいて行った実証実験では、容器回収率は20.8%、約665kg(杉の木48本が1年間に吸収する量に相当)のCO2削減効果が得られました。また、ご参加店舗からも、「手軽に社会貢献できる」などの声があがったことから、エリアや店舗数を拡大して本格運用に至りました。現在は、ビル15棟の8店舗にご参加いただいています。今後もさらに参加店舗を募り、回収場所を広げることで、環境負荷削減効果をより高めていきます。
三菱地所ホーム(株)では、脱炭素社会の実現を加速させるべく、2022年6月に、「CO2排出量削減戦略」を策定しました。この中で、「廃棄物を抑制する施工方法・リサイクルしやすい材料の選定」を戦略の一つに掲げ、取り組みをさらに進めていきます。
具体的には、建設時における構造材・断熱材・造作材(外部・内部)のプレカット促進、発注数量の適正化、施工方法の改善による現場における廃棄物削減を目指します。また、建設時の取り組みに加え、外装材等の高耐久化により修繕頻度を減らすことで、修繕や解体にかかる廃棄物の削減にもつなげます。
横浜ロイヤルパークホテルでは、2019年に「SDGs委員会」を発足し、スタッフの意識調査等を行ってきましたが、2021年7月に総支配人を委員長とする体制を整え、一層のスタッフの意識向上を図るとともに、SDGsに貢献する取り組みを実施しています。
本来食べられるのに廃棄されてしまう料理(食品ロス)を削減する取り組みに関しては、ホテルのレストランや宴会等をご利用頂くお客様や取引先と協力して行っています。
横浜ロイヤルパークホテルでは、ほかにも全レストラン・バーで生分解性ストローの導入や、ロスフラワーブーケの販売、建物内で使用した雑排水、厨房排水を浄水処理しトイレの洗浄水として使用するなど、様々な取り組みを通じて、持続可能な社会へ貢献しています。
こうした取り組みにより、2021年6月には、神奈川県横浜市が定めるSDGs認証制度「Y-SDGs」において、上位認証事業者である「Superior(スーペリア)」の認証を取得しました。引き続きSDGsへの取り組み強化とホテルで働くスタッフの意識向上を図ることで、2022年5月、神奈川県が推奨する「かながわSDGsパートナー」に認定、登録、同年7月には「Y-SDGs」において最高評価にあたる「Supreme(スプリーム)」の認証を取得しました。
端材野菜の有効活用
2022年7月取得
三菱地所レジデンス(株)では、2014年5月から、築年数の経過した中小ビル等を賃借したうえで、耐震工事やニーズを捉えたリノベーション工事で再生を図り、賃貸として供給する「Reビル事業」(既存ストックリノベーション賃貸事業/オフィス、住宅(シェアハウス含む))に取り組んでいます。
2021年6月には、福岡市中央区大手門にて、初の宿泊施設へのコンバージョン物件「ザ・パークレックス 大濠公園」のリノベーションを完了し、(株)FIKAが西日本エリアで初進出となるホステル「UNPLAN Fukuoka」をグランドオープンしました。
このほか、首都圏を中心に一戸もしくは一棟単位で中古マンションを買い取り、リノベーション後に分譲を行う「リノベーション事業」への取り組みも進めています。
リノベーションには、建物解体・新築に比べて環境負荷を抑えた再現を可能にする環境配慮の側面もあり、今後も、これらの事業への取り組みを進め、住宅市場の活性化ならびに既存ストックの有効活用を通じた持続可能な社会の実現に努めます。
リノベーション前(before)
リノベーション後(after)
三菱地所(株)は、1958年に竣工し、築60年超が経過したオフィスビル「大手町ビル」の大規模リノベーション工事を2018年より進めてきましたが、2022年5月に完了しました。外壁・内装の刷新や就業者やエリアワーカー向けのラウンジ・テラスの整備などハード面の全面改修に加え、ソフト面ではベンチャー企業やスタートアップ企業と大手企業が交流する機能を随所に導入するなど、人・企業が集まる新たな交流空間を創出しました。ストックの有効活用という社会的要請に応えながら、新たなビジネス創出拠点としての価値創造を目指し、100年ビルへの挑戦を続けていきます。
大手町ビルは地下鉄5路線が乗り入れる大手町駅直結という抜群の交通アクセスに加え、大規模ながらも小割貸付に適したフロア形状であるという特長があります。複数の企業がもつ先端技術の集積を図り、丸の内エリアにおける多様な交流やオープンイノベーションをいち早く実現するためにリノベーションを選択しました。
さらに、リノベーションによる環境適合型のまちづくりの側面として、解体・新築を伴う開発に比べ廃棄物や建築資材を節減できるほか、主たる外壁素材には通常のセメントに比べ耐久性や耐火性に優れたGRC(耐アルカリ性ガラス繊維補強セメント)を採用することで、将来的な管理コストの低減を図りました。また、LED照明の導入や断熱性に優れたLow-E 複層ガラス・日射フレームの採用により、熱負荷削減(約44%削減)の省エネ化など環境面での性能向上を実現しました。また、オフィスビルとしては都内最大規模となる約4,000m2の屋上空間を「大手町ビルスカイラボ」に緑あふれるワークスペースや農園スペース「The Edible Park OTEMACHI by grow」(658m2、運営:プランティオ(株))を整備オープンし、環境にも配慮した新しい交流空間を創出しています。
大手町ビルリノベーション前
大手町ビルリノベーション後
三菱地所(株)は2022年6月1日、丸の内エリアの新国際ビル・新日石ビル間の路地空間をリニューアルした「有楽町『SLIT PARK(スリットパーク)』」をオープンさせました。「SLIT PARK」は、「都市の隙間を公園化する」というコンセプトを体現したネーミング。従来はバイク・自転車置き場や通用口として使われており、薄暗いイメージもあったスペースが、光と緑あふれる都市の公園空間へと生まれ変わりました。三菱地所が取り組む有楽町エリア再構築における「既存ストック活用」を体現するプロジェクトでもあり、工事中に出た廃材の一部を空間演出などに再利用する試みも取り入れています。また、大名小路と丸の内仲通りがSLIT PARKを通じてつながる、動線としての機能も備えています。
Wi-Fiおよび電源完備でワーキングスペースとしても使用できるほか、キッチンカーや屋台による飲食・物販サービスの提供、誰でも気軽に参加できるイベントの実施などを通じて、人と人との交流やコミュニティが生まれる場所となることを目指しています。
大名小路側通路
(リニューアル前)
大名小路側通路
(リニューアル後)
三菱地所レジデンス(株)は2022年11月、参画している再開発区域内(江東区門前仲町2丁目)の遊休地を活用した「MONNAKA COFFEE(モンナカ コーヒー)」をオープンしました。本カフェは、再開発工事着手までの期間、地域の情報発信や住民同士の交流、にぎわいを創出するイベント開催などに活用されます。地域住民や来街者があらためてまちの魅力を知り交流を深めることで、再開発後にも持続するエリアマネジメント体制の構築や、新しいまちに対する期待感の醸成、まちのにぎわい創出を目指しています。また、建物は多摩産の木材を活用した上でユニットごとに分解して移築可能なものとし、家具や什器などにもリユース品を利用するなど環境負荷低減に配慮しています。
三菱地所グループの(株)ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツは、SDGs(持続可能な開発目標)の取り組み推進を目的として、2018年より取り組んでいる生分解性ストローの導入をはじめ、2022年4月「脱プラ」への取り組みとしての客室アメニティのバイオマス化、また100%リサイクルの再生ペットボトルを使用したミネラルウォーターの導入(※1)をしました。
現在では、全国18ホテル(※2)にて実施しています。(一部取り組みについては対象外のホテルもあります)
「生分解性ストロー」は、JBPA(日本バイオプラスチック協会)のグリーンプラマーク取得の製品で、トウモロコシなどのでんぷんから得られるポリ乳酸を原料とする植物由来の自然循環型樹脂を原料としたものです。年間約28万本使用しているプラスチック製ストロー(ストレート)を植物由来製品に置き換えることで、廃棄物による自然環境への負荷軽減に努めます。
客室アメニティ(※3)は、籾殻を配合した原料や再生プラスチックを使用し、包材も紙製のため環境に配慮した製品バイオマス製品シントワールド「エコアメニティシリーズ」に順次切替えています。ヘアブラシ・シャワーキャップ・歯ブラシはバイオマスマーク40(※4)を取得しています。
また、100%リサイクルの再生ペットボトルを使用したミネラルウォーターを導入によりごみの削減やリサイクル促進を目指します。一般回収されたペットボトルを再生可能なものにリサイクルしたプラスチックを利用した再生ペットボトルは、ペットボトルの再利用循環を促進する環境に配慮しています。
三菱地所グループでは、関連法令に基づいて有害物質の適正な管理・処理を行っています。
空調機の冷媒であるフロン類や、電気設備に使用されるPCBは、法令に基づいて適正に処理・手続きを行い、漏えい・放出がないよう厳格に取り扱うとともに、アスベストや土壌汚染については、適時に有無の把握調査を行い、状況に応じた適切な対策・管理を実施しています。
三菱地所グループが管理・運営する施設における一定規模以上の飲食店等は、水質汚濁に係る法令・条例等の規制対象となっています。これらの規制対象となっている施設においては、排水処理施設を設置し、排水を基準以下になるよう処理した上で、下水道や河川・海などの公共用水域へ放流しています。
三菱地所レジデンス(株)では、開発物件の用地取得について事前に土壌汚染調査を行い、必要に応じて対策・処理をしています。
用地取得にあたっては担当者がチェックシートを使ってチェックし、さらにその内容を専門調査会社がチェックします。用地取得の際には、専門調査会社による調査報告書の添付・提出を義務付け、用地取得の判断後は汚染の危険性の有無にかかわらず、専門調査会社の詳細調査(地歴調査)を義務付けています。
土地売買契約にあたっては、汚染に関しての土地売主の責任・負担を明確にし、必要に応じて対策を実施しています。