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トップコミットメント

トップコミットメント

 

TOP COMMITMENT

多様なステークホルダーとの信頼関係を基盤に、
まちづくりを通じた真に価値ある社会の実現を目指します。

三菱地所株式会社 執行役社長

中島 篤

アントレプレナーシップを受け継ぎ、空間の価値を高めていく

三菱地所株式会社 執行役社長 中島 篤

三菱地所グループは、2020年4月から「長期経営計画2030」に取り組んでいますが、その当初3年間において、私たちは計画策定時点では予期しなかった大きな社会環境の変化を経験しました。COVID-19の拡大が、経済や暮らし、人々の働き方、そして価値観までを大きく揺るがし、また、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、地政学的リスクや国際社会の分断が顕在化するなど、変化のうねりにより将来の予測が困難な状況を迎えています。2023年4月、私は社長に就任しましたが、こうした不透明感が高まる環境下での経営の舵取りを担う責任を、重く受け止めています。

長期経営計画において、当社グループは、サステナビリティと経営を統合する方針を明確にしています。私が果たしていくべき使命は、本計画で示す通り「社会価値向上」と「株主価値向上」を両輪に据えた経営を実践していくことに尽きます。これら2つの要素は、短期的には矛盾することがあっても、本来対立軸にあるものではありません。社内コンプライアンス体制の構築は当然として、社会に貢献する事業を行っていくこと、長期的に社会の役に立っていくことが優れた人財の集積につながり、次の成長へのチャンスを生みだしていきます。企業にとって、社会価値を認められることは企業活動を営む必要最低条件であり、それが結果的には株主価値の向上にもつながっていきます。
三菱地所グループのまちづくりは、1890年に三菱が明治政府から草が生い茂り原野と化した東京・丸の内一帯の引き受けを決断したことに端を発します。その後、丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町地区)は、先人達の強い意志のもと、日本の経済発展を支えるビジネスセンターへと発展をとげました。その間、私たちは今日に至るまで、時代を先駆ける、国の産業の創出に寄与するといった信念を持ちながら、不動産のみならず、空間価値を高めていくまちづくりを130年以上にわたって進めてきました。そうした先人から受け継いだDNAが、私たちが掲げる基本使命「まちづくりを通じた真に価値ある社会の実現」という言葉に具現化されています。

「真に価値ある社会」とは、私たちに関わるそれぞれのステークホルダーが幸せや喜びを感じられる社会であると考えています。

社会の変化を捉え、ステークホルダーの声を聞き、グループが持つさまざまな事業の力を活かし、空間の魅力を高めていく。それによってあらゆる人に満足や幸福感、笑顔をもたらすビジネスを追求していく力こそが、私たちの強みだと思っています。何もない原野に世界水準のビジネスセンターを築くという、先人たちの偉大なアントレプレナーシップを胸に、私たちは従来の固定概念に捉われることなく、今までにない柔軟な発想でまちづくりを進めていきます。

グローバルな潮流を見極め、事業に反映させる

この10年余りで、三菱地所グループの海外事業は大きく広がり、各国での開発事業に加え、投資マネジメント事業のグローバルネットワークも発展させてきました。海外事業においても、私たちの使命は魅力あるまちづくりや空間価値を高めていくことに変わりはなく、長期経営計画に掲げる通り今後さらに海外事業を成長させ、他の事業分野との連携も強化していきます。

一方、国内事業を進める上でも、アンテナを高く張り、グローバルな潮流を見極めていくことが重要です。日本が世界で存在感を持ち続けるために、三菱地所グループとしてどう貢献できるかと考えると、東京・大阪など国際的に認知度の高い都市の競争力を高め続けていくことは肝要ですが、それと同時に地方も含めた日本全体の魅力を高めていくべく、個性ある街やエリアを創っていくことも欠かせません。丸の内エリアの発展を見ていますと、三菱地所グループの良さを強く感じることもありますが、そこに甘んじることなく、より広い視野から客観的に自社を見つめていく必要もあると考えています。

グローバルな視点は、社会への価値提供を多角的に考える上でも鍵を握っています。私は2011年から米国事業の中核会社、ロックフェラーグループへ出向し、2014年からは社長兼CEOを務めました。その経験は私にとって非常に貴重なものとなっています。赴任当初は、文化や考え方、商習慣の違いに戸惑うことも多かったのですが、その経験からどちらの主張や立場が正しいかということではなく、多様な視点で物事を捉えることの重要性や、お互いに理解し合うコミュニケーションこそが大切だということを学びました。

今日、世界は「分断の時代」といわれます。しかしながら、こうした中だからこそ私は多様性を認め合い、さまざまな価値観を尊重することで地球全体が混ざり合っていく可能性を信じたいと思います。2019年に当社が協賛したラグビーワールドカップ2019™日本大会では多くの人々が来日し、昨今も円安の力もありながら、世界中から多くの人たちが日本を観光に訪ねてきていることは、日本という国に魅力を感じてくれているからこそと感じています。人々が心を通わせることにおいて、スポーツや文化芸術が果たす役割は極めて大きく、そのような要素もまちづくりに取り入れながら、グローバルに人々がつながり合うことへの希望へとつなげていければと思っています。

丸の内を舞台に、新たな価値創造に挑戦する

三菱地所株式会社 執行役社長 中島 篤

当社グループの基盤となる丸の内エリアは、2020年以降を「丸の内NEXTステージ」と位置づけ、新たな街の価値創出に取り組んでいます。丸の内NEXTステージは、人・企業が集まり交わることで新たな「価値」を生み出す舞台として、イノベーション創発とデジタル基盤強化を通じた個人のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上と、社会的課題の発見、解決を目指すものです。まち全体を舞台とした実証実験やスタートアップ支援の拡大、エンターテインメント、芸術などの要素も取り入れながら、より人が集まり、情報・文化が交わり合うエリアへと発展させていきます。有楽町では一例として、アートによる創造的なまちづくりにも挑戦しています。手探りの段階ではあるものの、その立地特性も踏まえ、再開発で先行する丸の内・大手町とは異なる個性を生み出し、丸の内エリア全体での価値向上につなげていきたいと考えています。
さらに、「TOKYO TORCH」(東京駅前常盤橋プロジェクト)では、2021年6月竣工の常盤橋タワーに続き、2027年度にはTorch Towerの竣工とあわせて日本一の高さとなる空中庭園やウルトララグジュアリーホテル、丸の内エリア初の高層レジデンスなど、オフィス機能に限らない、多様な機能創出に挑戦する東京の新しいシンボルとなることを目指しています。
また、コロナ禍を経て、 WFH(Work From Home)が定着する中でのオフィスの役割の変化を実感しています。オフィスから離れた場所からでもオンライン上で実施可能な業務が増える中、それでもオフィスに出社する意義は何なのか。人々が求めているのは、リアルに空間を共有することで深まるコミュニケーションや、何気ない会話から偶然生まれる新たな発想やひらめきといった「交流・創造の場」としての価値でしょう。人と人、企業と企業が出会う場として、丸の内エリアの圧倒的な集積は大きな強みですが、今後はそれを土台に、社会的なニーズの変容を的確につかみ、建物・空間・用途をより柔軟に捉えたまちづくりを一層加速していきたいと考えています。

経営の決意を示し、脱炭素に向けた高い目標に取り組む

三菱地所グループでは、2050年に自分たちのありたい姿やパーパス(社会における存在意義)からいまを振り返ることで、「三菱地所グループのサステナビリティビジョン2050」を制定しています。長期経営計画では、ビジョン達成へのマイルストーンとなる4つの重要テーマを策定し、社会価値向上および株主価値向上の双方を戦略の両輪として、取り組みを進めています。
脱炭素に向けた取り組みでは、CO2排出量削減・再エネ比率の目標を大幅に上方修正し、2022年6月に日本企業として初めてSBTイニシアティブ※1より「ネットゼロ新基準(The Net-Zero Standard)」に沿った目標としての認定を受けました。これは一歩前進したとは考えられますが、まだまだ道半ばです。今回掲げた目標は決して簡単に達成できるものではなく、試行錯誤しながら走り続け、軌道修正を行っていく必要があります。
また、ネイチャーポジティブを目指した取り組みにも社会的要請が高まっています。当社グループが行う不動産開発事業には、自然を改変するという側面もある中で、私たちは自然資本の保全・拡大や生物多様性の確保に積極的に取り組む責任を負っています。
2023年2月には、群馬県みなかみ町、公益財団法人日本自然保護協会と三者連携協定を締結し、ネイチャーポジティブ※2の実現に向けた活動をスタートしています。この活動では企業版ふるさと納税制度を活用しており、みなかみ町への寄付を通して、生物多様性が劣化した人工林の自然林への転換や、里山の再生などに取り組みます。専門的知見を備え、想いを共有できる人々と協働することで、当社単独ではできないことを形にしていきます。
当社にとって未踏の分野での挑戦ではありますが、この活動によって生じる効果を定量的・定性的に見極め、他事例への応用の可能性についても検討していきます。さらに将来に向けては、事業そのものを通じたネイチャーポジティブを目指していくべきと考えています。
サステナビリティ分野では、関係部門それぞれが達成できそうなことを足し算で積み上げ、現実的な目標を定めても、大きな変革を起こすことはできません。経営トップが自ら高い目標を掲げ、発信していかないことには進まない分野だと思っています。その観点で、長期経営計画で社会価値向上戦略を経営目標として位置づけ、社内外に経営の決意を示したことは意義深かったと考えます。2022年度、私はサステナビリティ担当役員の立場から目標に向けた活動推進に携わりましたが、改めて経営のトップとして私自身の決意を社内外に示すことで、グループ全体を大きく前進させていきたいと考えています。

課題への感度を高め、真に多様性豊かな社会へ

長期経営計画を実行していくためには、三菱地所グループの従業員一人ひとりが、それぞれ異なる能力を最大限に発揮していけるような環境づくりが不可欠です。そして、三菱地所グループにおいて真の「Diversity, Equity & Inclusion」を追求し続けることは、社会に多様性豊かなまちづくりを提案していく上でも重要な基盤となります。
米国での赴任中には、人種、国籍、文化、宗教などさまざまな属性をもつ人々が共存し、お互いの多様性を認め合うことで成り立っている社会であることを、日々実感していました。比較すると、日本社会はある意味「多様ではないこと」が長い間当たり前とされてきたように感じています。
米国には米国ならではの課題があり、単純に追随すべきとは思いません。ただ、多様性を認識せざるを得ない環境が、そのルールづくりを促進してきたとはいえるでしょう。ジェンダーについては日本でも近年理解が深まり、当社でも女性管理職比率の向上など取り組みを加速していますが、私自身を含め多様性への見識を一層深める必要があります。企業としても個人としてもまず重要なのは、今世の中でどのような問題が起きているかという点に感度を高めていくことだと考えます。何が課題で、私たちはどこを変えていく必要があるのかをしっかりと掘り下げなければなりません。グループ全員、特に経営層が、アンコンシャスバイアスがあるという前提のもと、あらためて自組織を見直し、改善していく覚悟が必要です。
また、当社グループでは、「三菱地所グループ CSR調達ガイドライン」を2022年4月に「三菱地所グループ サプライヤー行動規範」に改定し、人権問題や環境課題に対しサプライチェーン全体でグローバル水準を目指し取り組んでいく方針を明らかにしました。当社グループと直接取引のあるサプライヤーだけでなく、二次以降のサプライヤ―も対象としています。業種も規模も異なる多くの企業との取引があり、各社の事情は一律ではない中、足並みを揃えた対応は容易なことではありません。各社とのコミュニケーションを一層深め、サプライチェーン全体でより良い方向に進んでいきたいと考えています。

Ecosystem Engineersとして挑戦を続ける

社長として経営を預かる今、三菱地所グループの将来に向けた思いは、新しいことにチャレンジを続ける企業グループでありたいということです。日本はもちろん、世界においても「不動産会社といえば三菱地所」と認められるような、確固たる存在感を築いていきたいと考えます。そのためには事業で力をつけていくことはもちろん、多様なパートナーとの信頼関係の構築が極めて大切です。まちづくりとは、個人や企業単体では達成できないことを社会全体で実現していく事業であり、これはどのような場所でも変わりません。三菱地所は単体では約1,000名、グループ全体で約10,000名の会社で、事業規模に比べて従業員数は決して多くなく、これはすなわち外部との強固なパートナーシップや、相互のリソースの融合を前提に成り立っている事業とも言えます。それゆえに、多様なパートナーとの強固な関係、またそれを築く人間力、失敗を恐れないチャレンジ精神を持つ人財たる従業員は、私たちの事業の根幹となるものです。
「三菱地所グループのサステナビリティビジョン2050」で掲げる「Be the Ecosystem Engineers」は、多様なステークホルダーとの共創の意識を深めた姿です。私たちは、社会価値向上と株主価値向上の両面で確かな実績を示し、信頼いただくことで、異なる立場の人々や企業の力を結集するEcosystem Engineersであり続けます。あらゆるステークホルダーとまちづくりへの想いや価値観を共有しながら、持続可能な社会の実現に向け貢献をしていきたいと考えています。

  • 企業に対して、パリ協定が求める水準(気候変動による世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて、2℃より十分に低く抑えるとともに、1.5℃に抑えることを目指す)と整合した、科学的知見に基づく温室効果ガス排出削減目標(=SBT:Science Based Target)を設定するよう求める環境イニシアティブ。
  • 人と地球のために、生物多様性の損失に歯止めをかけ、自然を回復させること。COP15でも2030年までにネイチャーポジティブな社会を実現することが国際社会の使命とされ、そのための世界目標が定められた。
株式会社ディ・エフ・エフ