サステナブルな社会を実現するためには、人権尊重が欠かせない重要な要素です。あらゆるステークホルダーの基本的人権を尊重する責任を果たすために、2018年4月に「三菱地所グループ 人権方針」を制定して人権デュー・ディリジェンスを行いました。その結果を踏まえ、以下の具体的な取り組みを実施して、社会課題の解決に取り組んでいきます。
オフィスや住宅などの建設時に使用する型枠コンクリートパネル※1は、マレーシア、インドネシア等の南洋材が原料となっています。これらの材料調達では、先住民の土地の収奪や環境破壊等を含む違法伐採材が含まれることがNGO等から指摘されています。
三菱地所グループでは、人権および環境保護の観点から、持続可能性に配慮した調達コード※2にある木材(認証材並びに国産材)と同等の木材を使用し、2030年度までに使用率100%を目指します。
0%
(2030年目標)
持続可能性に配慮した調達コードにある
木材と同等の木材使用率
型枠材の使用イメージ
実際に外国人技能実習生にヒアリングを行い判明した、報酬や日常生活に関する事項等、技能実習生が活動する上で盲点となりやすい事項について、技能実習生が働いているケースが多いと想定される協力会社に周知・指導するよう、発注先に対して申し入れを行っていきます。
三菱地所レジデンス(株)は、新築分譲マンションにおいて、持続可能性に配慮した木材の調達基準にある型枠コンクリートパネル※1を採用し、トレーサビリティの確保を進めています。
トレーサビリティの確保には、伐採・供給といったそれぞれの流通段階における全ての会社が認証を取得している必要があります。三菱地所レジデンスでは、適切な管理がなされている森林を認証する「FM認証」と、FM認証を受けた森林から生産された木材が、以降の流通段階においても適切に管理・加工していることを認証する「CoC認証」を取得した木材利用を通じてトレーサビリティの確保を行っていますが、型枠加工業者から施工業者まではCoC認証を取得していない会社も多く存在し、認証が繋がっていない(=トレーサビリティが完全に確保されない)ことが課題となっていました。
そこで、各国で個別に策定された森林認証制度を審査し、相互認証を行う「PEFC認証材」を採用したうえで、第三者認証機関である(一財)日本ガス機器検査協会の第三者証明を取得するスキームを構築し、サプライチェーン全体でトレーサビリティの確保を図る取り組みを開始しました。本取り組みは、2021年12月竣工の「ザ・パークハウス 駒沢レジデンス」より開始しており、2030年度には全ての物件で型枠コンクリートパネルの木材のトレーサビリティ確保を実現します。また、取り組みの強化に向けて、第三者証明によるスキームに加えて、国際認証の取得も目指し、2021年7月より販売開始の「ザ・パークハウス 高輪松ヶ丘」において、サプライチェーン部分の認証に非営利団体であるFSC※2が構築したスキームを活用することで国際認証であるプロジェクト認証を取得する予定です。型枠コンクリートパネルを対象として、FSCの基準に基づくプロジェクト認証を取得するのは世界で初の試み※3であり、施工会社の木内建設(株)の協力により実現したものです。
新築分譲マンション業界において、トップランナーとして課題と解決策を社内外に発信することで、業界全体での取り組みとなるよう努めています。
詳細については、以下をご覧ください。
新築分譲マンションの型枠コンクリートパネルのトレーサビリティ強化~
世界初の FSC®による型枠のプロジェクト認証取得(PDF 1.3MB)
新築分譲マンションにおいて、持続可能性に配慮した木材の調達基準にある型枠コンクリートパネルを採用し、
トレーサビリティを確保(PDF 869KB)
三菱地所グループは、事業活動を通じて、持続可能で真に価値ある社会の実現に貢献するためには、サプライチェーン全体で取り組みを進めることが重要であると考えており、行動憲章や行動指針を踏まえ、「三菱地所グループ サプライヤー行動規範」を制定しています。本行動指針はホームページで公表するとともに、主要取引先に対して通知しています。本行動指針においては、三菱地所グループがサプライヤーの皆さまに遵守いただきたい事項、期待したい事項として、法律・条例の遵守、人権の尊重、地域社会・先住民の権利・文化遺産、労働安全衛生、企業倫理の確立、環境保全と環境への負荷軽減、情報セキュリティの確保、リスク管理体制の構築に関する内容を定めています。
サプライヤーの皆さまのお取引先にも本行動規範の趣旨についてご理解・ご協力いただけるよう周知に努めていただき、持続可能な社会の実現に向け、サプライチェーン全体で社会的責任を果たしていけるよう取り組みを進めていきます。
2022年度、三菱地所では施工現場で使われる建材ごとの人権・環境リスクアセスメントを実施しました。施工現場で使用される重量比率が高い建材上位20種強を対象に、各建材で使われる資材を洗い出し、主要18資材について主要な生産地や輸入国を調査し、関連する人権・環境リスクを特定しました。今後は注力的に取り組むべき建材について、対策を検討していく予定です。
三菱地所では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)により生活者が暮らしやすさを実感できる新しいまちづくりを目指し、「三菱地所デジタルビジョン」を掲げています。2022年度には、人権に配慮した事業活動を推進するため、本ビジョンを実現するテクノロジー関連のサービス・プロダクトについて「人権アセスメント」のプロセスに基づき、顕在的・潜在的な人権への影響を特定・評価しました。今後は、人権リスクの防止及び低減に向けた適切な対策を検討していきます。