三菱地所グループは、事業活動を通じて、持続可能で真に価値ある社会の実現に貢献するためには、サプライチェーン全体で取り組みを進めることが重要であると考えており、行動憲章や行動指針を踏まえ、「三菱地所グループ サプライヤー行動規範」を制定しています。ホームページで公表するとともに、主要取引先に対して通知しています。三菱地所グループがサプライヤーの皆さまに遵守いただきたい事項、期待したい事項として、法律・条例の遵守、人権の尊重、地域社会・先住民の権利・文化遺産、労働安全衛生、企業倫理の確立、環境保全と環境への負荷軽減、情報セキュリティの確保、リスク管理体制の構築に関する内容を定めています。
サプライヤーの皆さまのお取引先にも本行動規範の趣旨についてご理解・ご協力いただけるよう周知に努めていただき、持続可能な社会の実現に向け、サプライチェーン全体で社会的責任を果たしていけるよう取り組みを進めていきます。
三菱地所グループが事業活動を通じ、真に価値ある社会の実現に貢献するためには、自らのみならず取引先と協力してサプライチェーン全体で配慮することが不可欠であると考え、2016年4月に制定した「三菱地所グループ CSR調達ガイドライン」を改訂し、2022年4月に「三菱地所グループ サプライヤー行動規範」を制定しました。
三菱地所グループでは、「行動憲章」および「行動指針」を踏まえ、発注に携わる役職員が遵守すべき基本的な考え方をまとめた「発注行動指針」を策定し、公正で透明な発注・契約の実践に努めています。客観性・経済合理性はもとより、環境保全対策や情報管理、反社会的勢力との関係遮断といった内容が指針に盛り込まれています。この「発注行動指針」は当社グループ全体のガイドラインとして共有し、各社の事業内容に沿った発注・契約プロセスを構築・運用しています。
サプライチェーンマネジメントについては、サステナビリティ全般を所管する三菱地所(株)サステナビリティ推進部および人権・ダイバーシティを所管する三菱地所(株)人事部が中心となって取り進めています。重要事項についてはサステナビリティ委員会・協議会の審議事項とされ、その後行われる取締役会にて報告され、取締役会の監督を受けています。また、優れたグループの取り組み等については同委員会・協議会で報告・共有される仕組みとなっています。また、「三菱地所グループ サプライヤー行動規範」の周知・取りまとめ等については、三菱地所(株)サステナビリティ推進部が行います。
なお、三菱地所(株)では、建設事業者への発注に際して事業部署と発注部署を分離し、セルフチェックシートによりコンプライアンス状況の自己点検を行ったうえで三菱地所(株)法務・コンプライアンス部が客観的に確認するなど、適正な発注・契約を行っています。特に大規模な工事の発注については、三菱地所(株)執行役社長を委員長とする「発注委員会」を開催し、コンプライアンスの観点から審議を行っています。
人権に関する体制は、以下をご覧ください。
三菱地所(株)は、グループ内外への周知を徹底するため、当社のホームページに「三菱地所グループサプライヤー行動規範」(以下、サプライヤー行動規範)、および「三菱地所グループグリーン調達ガイドライン」を公表しているほか、見積要項書と併せてサプライヤー行動規範を配布することで、当社より発注先に対し、協力会社への指導・働きかけを行うよう申し入れを行います。
サプライチェーン全体におけるサステナビリティ・ESG関連の取り組み向上を推進すべく、ヒアリングシート調査を通じて、サプライヤー行動規範の遵守状況を確認しています。ESGの観点、国・地域別、業界特有のリスクを考慮し、当社グループのサプライチェーンにおいて、当社事業の極めて重要な過程を担い・発注ボリュームが多く、サステナビリティリスクが高くなる傾向の強い※「施工会社」「清掃会社」を対象に実施し、今後その他の取引先にも範囲を広げ実施をしていく予定です。
また、一次サプライヤー(直接の取引先)のみならず、二次以降のサプライヤー(取引先の委託先)についてもヒアリングシート調査を実施していきます。サプライチェーンを深堀した調査を通じて、潜在的なリスクを特定し、調査結果から改善の取り組みを該当サプライヤーに要請してまいります。
また、当社グループの「サプライヤー行動規範」は、「IFC パフォーマンススタンダード」、「レスポンシブル・ビジネス・アライアンス行動規範」、「ビルディング・レスポンシブリィ 原則」などの主要なサステナビリティに関する国際基準を参照しており、サプライヤー行動規範の遵守状況についてヒアリングシートを用いて調査しています。
その中で、外国人技能実習生を含む外国人労働者の労働条件や待遇、全ての労働者の労働時間、グリーバンスメカニズムの設置等が予測されるハイリスクな事項だと捉えています。
本調査と併せて現地確認等による調査も実施し、サステナビリティ・ESG関連の取り組みを推進することで、サプライチェーンマネジメントを強化していきます。
二次以降の取引先を含め施工会社5物件において43社、清掃会社17社、計60社にヒアリングシート調査を実施しました。サプライヤーのサステナビリティ推進状況を正しく理解すべく、施工会社においてはヒアリングシート調査回答後に、サプライヤー企業で働く労働者へのインタビューを実施しました。2023年度からは清掃会社においてもインタビューを開始する予定です。
全体を通じ、違反事項は0件でしたが、「取引先も使える相談窓口の設置」「相談窓口の多言語対応」が課題であることが分かりました。サプライヤーの実態を理解した上で、課題への対応策を検討し、サプライチェーンマネジメントを強化していきます。
二次以降の取引先を含め施工会社22社、清掃会社4社、計26社にヒアリングシート調査を実施しました。またサプライヤーのサステナビリティ推進状況を正しく理解すべくヒアリングシート調査後に、施工現場、清掃現場でそれぞれでの現場で働く労働者へのインタビューを実施しました。
全体を通じ、違反事項は0件でしたが、一部のサプライヤーにおいて「休日の取得状況」、「外国人技能実習生の手数料支払いについての理解不足」が課題であることが分かりました。これらについては、業界全体の課題として解決策、啓発方法等について検討してまいります。
また2022年度課題であった、「取引先も使える相談窓口の設置」「相談窓口の多言語対応」に対して、2023年8月より外国人相談窓口「JP-MIRAIアシスト」を導入いたしました。
2024年3月時点で、三菱地所、三菱地所レジデンス、三菱地所ホーム含め20物件程度に導入をしています。今後も導入物件数、またグループ会社での導入範囲を広げてまいります。
2022年度、三菱地所(株)では施工現場で使われる建材ごとの人権・環境リスクアセスメントを実施しました。施工現場で使用される重量比率が高い建材上位20種強を対象に、各建材で使われる資材を洗い出し、主要18資材について主要な生産地や輸入国を調査し、関連する人権・環境リスクを特定しました。今後は注力的に取り組むべき建材について、対策を検討していく予定です。
事業 | 社会・環境側面の評価 |
---|---|
ビル事業 | 三菱地所(株)では、ビル事業における工事の発注先に対して、品質、安全衛生、環境面などの取り組み状況を多面的に評価する「発注先評価制度」を導入しています。評価の結果は発注先にフィードバックし、必要に応じて改善をお願いするなどの対応を行っています。 |
マンション事業 | 三菱地所レジデンス(株)では、新たに取引をする施工会社の選定時に「施工会社ヒアリングシート」を活用し、本社組織の現場支援体制を含む取引先の状況確認を行っています。また、工事の品質を高め、現場の安全衛生を確保するために、あらかじめ取引先から工程表や工事計画を提出してもらい、適正な工期(期間)で発注できるように配慮しているほか、現場単位で工事着工前のスタート会議や工事中定例会議の開催、施工完了時の取引先評価を行うなど、相互コミュニケーションを通じて改善を図っています。 |
注文住宅事業 | 三菱地所ホーム(株)では、事業特性を考慮した取引先との取り組み方針を設けています。まず基本となる発注単価を発注先との合意のもとに設定し、発注先相互の公平性が保たれるように努めています。 建築・設備・電気の業種となる取引先については、接点のある社員によるアンケート評価を行うとともに、顧客紹介数や施工能力、与信状況などを加味して、総合的かつ公正に評価し、共通単価のもとで発注する棟数を決定しています。 さらに製造元の製品原価と最終納入先までの物流経費を明確に分けることによって、製品原価と物流経費の透明性を高め、資材納入会社や製造元の公平な評価を行っています。工事金額の決定においても、工事原価と経費とを別計上し、安易な価格競争が発生しないように配慮しています。 |
横にスクロールできます
三菱地所コミュニティ(株)では、お客さまが住みながらの工事となる改修工事においては、社員とともにお客さまと直接に接する協力会社の方々と一緒になって品質と安全およびCSマナーの向上に努めています。
工事品質については三菱地所コミュニティ独自の作業員技能検定登録制度(プライベートライセンス制度)を定め、また改修工事でのアフター事例を協力会社と情報共有し、常に工事の品質向上に努めています。また、工事中はお客さまの安全を第一に考え、誰にとっても安全・安心・快適な現場を目指して協力会社の方々とともに現場を整備しています。さらに、2011年からは毎年、大規模修繕工事完了後にCSアンケートを実施し、その結果を協力会社にもフィードバックしてCS向上に努めています。
毎年7月から8月にかけて協力会社を集めて「工事品質安全推進大会」を開催しており、安全かつ品質の高い工事の実現とお客さま満足度向上の目標を共有化しています。併せて、優秀現場代理人および技能検定試験の成績優秀者に対する表彰も行っています。
三菱地所ホーム(株)では、1998年より職方(建築関係などで、特定の技術をもっている作業者)および協力会社担当者を含む全ての関係請負人を対象に、元請負人の立場として安全衛生のための教育に関する指導、援助および施工現場の「安全・品質・マナー向上」を目的に、施工登録者研修会を開催しています。