三菱地所レジデンスは、少子高齢化や多様化するライフスタイルに合わせ、分譲マンション以外のアセット開発事業を拡大しています。シニア世代に上質な住まいと豊かな暮らしを提供するシニア向けの住宅開発を新たな事業の柱の一つと位置付け、現在首都圏で20物件のヘルスケアアセットを手掛けているほか、今後は2023年11月に共同事業協定書を締結した、シニアライフ事業、メディカル事業を担う株式会社ハイメディック(リゾートトラストグループ)とともに、新ブランドのレジデンス開発を推進しています。さらに、2023年10月に着工した「鎌倉市岩瀬1丁目計画」は、SOMPOグループで介護事業を担うSOMPOケア株式会社と初めて共同開発する住宅型有料老人ホームとして開業予定であり、シニア世代の新たなライフステージ創出への寄与を加速させます。
また学生一人ひとり教育へのアクセスや、その周辺環境整備の重要性が高まる中、三菱地所レジデンスは、学生向けレジデンス開発に参画した2018年以降、7棟の実績を積んでいます。時代に合わせたプライベートを重視したプランに加え、食堂ラウンジの設置による栄養バランスに配慮した食事の提供、学生同士の交流促進等の施策を通じ、豊かな学生生活と将来の活躍を後押ししています。
チャームプレミア グラン 御殿山(有料老人ホーム)
The Park Hive 仙台支倉(学生マンション)
三菱地所は、グローバルでの生活スタイルの多様化により、一層フレキシブルな賃貸住宅需要が拡大することを見据え、2019年に在シンガポール法人のHmlet Pte. Ltd.(現Habyt Pte.Ltd)と合弁会社を設立し、中長期滞在者向けの賃貸住宅にコミュニティ形成のコンセプトを掛け合わせたコリビング事業を日本国内にて先駆けて開始しています。コロナ禍を経て、在留外国人数はコロナ前の水準を超えており、日本はデジタルノマドにとって一層魅力的な滞在先となっています。45拠点約850室の稼働に対し、外国籍の入居者が約8割を占め、50カ国以上の方にご利用いただいています(2024年6月時点)。こうした新しい住まい方の一層の広がりを見据え、コリビング事業を含むフレキシブルな賃貸住宅事業(フレキシブルリビング事業)の強化を企図して、三菱地所は世界17ヵ国、34都市で15,000室以上の客室を展開しているBlueground Holdings Ltd.と日本国内における独占的ライセンス契約を締結しました。フレキシブルリビング事業の更なる拡大により、国内外の多様化する生活スタイルの需要に応えていきます。
Hmlet三軒茶屋
Bluegroundパークプレイス三田
まちづくりを通じて社会のダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進を目指す三菱地所は、その実現には社内におけるDE&Iの一層の理解・浸透が不可欠との前提のもと、各施策を加速させています。女性活躍推進が経営や事業を行う上で重要との認識から、2024年1月、国内不動産会社として初めて女性のエンパワーメント原則(WEPs)に賛同し、同原則に基づき行動するためのステートメントに署名し、ジェンダー平等を経営に位置付けることを表明しました。あわせて、同原則のひとつ「トップのリーダーシップによるジェンダー平等の促進」を踏まえて、経営層が現場の社員とのコミュニケーションの機会を通じて課題を認識するため、同年3月に役員と社員が今後のキャリアの考えや課題等について気軽に会話できるランチ会を開催しており、今後も複数回の開催を予定しています。
また、三菱地所は2024年4月より社内諸制度における家族の定義について、同性パートナーやその家族を異性婚と同様に取り扱うこととし、三菱地所グループ行動憲章で掲げる、個々の人権や多様な考え方の尊重による活力ある職場づくりを進めています。
社外取締役と社員のランチ会
中島社長と社員のランチ会
外国人労働者の相談・救済窓口サービス
三菱地所グループはビジネスと人権、環境保護の観点から、業界に先駆けてサプライチェーンマネジメントの深化に向けた各施策を進めてきました。これまで実施してきたサプライヤーへのヒアリングシート調査に加え、2023年度は施工現場の就業者への対面インタビュー調査も実施し、サプライチェーンにおける課題の実態把握に努めています。また、建設資材に関わるリスク把握も当社グループの責務と捉え、デューデリジェンスを経て高リスクと特定した建設資材について、サプライヤーの協力のもとでトレーサビリティ調査にも着手しています。さらに、当社が発注する施工現場で働く外国人労働者への救済メカニズム(グリーバンスメカニズム)の確立を企図し、外国人労働者の相談・救済窓口サービスの導入を開始し、対象現場を順次拡大させています。
また、三菱地所を世話人企業として2018年に発足した「建設・不動産『人権デュー・ディリ・ジェンス勉強会』」は、活動の更なる発展のため、2023年に「建設・不動産『人権デューデリジェンス推進協議会』」に移行し、当社は代表世話人を務めています。同業界において課題を同じくする企業間で連携し、業界全体の人権水準の底上げに向けて調査・研究を継続していきます。当社の理想とするサプライチェーン構築は道半ばですが、業界のリーディングカンパニーとしての責任を果たし、サプライヤーと社会の持続的な発展に寄与すべく、引き続き取り組んでいきます。